令和2年度の診療報酬改定でさらに点数が上がり、ますます重要となってくる「医師事務作業補助者」
この記事では医師事務作業補助者として勤めるにあたって、必要な研修や資格について明らかにしていきます。
医師事務作業補助者になるにはいくつかの留意事項がありますので、しっかり把握して良き就職に役立ててください。
ブログタイトルに対する結論からお伝えすると、医師事務作業補助者になるためには、
資格は不要ですが研修が必要です。
数ある医療事務系職種の中で、医師事務作業補助者がおすすめであることは過去の記事でお伝えしました。
医師事務作業補助者に魅力を感じられた方に、医師事務作業補助者として働くためにはどうすればいいかを項目ごとに順を追って伝えていきますので、安心して読み進めてください。
目次
1.医師事務作業補助者に必要な資格
上記の通り、医師事務作業補助者になるためには、必要な資格はありません。
医師や看護師などのように、
「資格がないと医師事務作業補助者になれない」ということはなく、
病院の医師事務作業補助者の求人に応募すれば未経験・無資格であっても雇ってもらえる可能性は十分にあります。
「未経験者歓迎」といった求人募集もたくさんありますので、理想的な条件の求人と出会った場合はすぐに応募してみることがよいでしょう。
2.6か月の研修期間と32時間研修
資格は不要とお伝えしましたが、6か月の研修期間と32時間研修というのが必要になるのです。
「医師事務作業補助者として新たに配置してから6か月間は研修期間として、業務内容について必要な研修を行う。なお、6か月の研修期間内に32時間以上の研修を実施するもの」※医師事務作業補助体制加算の施設基準より抜粋
これが医師事務作業補助体制加算を算定するために最低限必要な要件となります。
ですが、加算自体は医師事務作業補助者が配置された初日から算定可能ですので、研修の修了を待たなくても算定することができます。
3.6か月の研修期間の研修内容
6か月の研修期間においては、「業務内容について必要な研修を行う」と記されており、「実際に医師の負担軽減及び処遇の改善に資する業務を行わせる」以外は具体的な研修内容や研修方法は指定されていません。
病院独自でそれぞれ異なる実情を踏まえながら、医師事務作業補助者の業務内容を担当させし、指導を怠らないようにしましょう。
医師事務作業補助体制加算を算定しているならば、研修中のその方もれっきとした「医師事務作業補助者」です。
研修期間だからといって、関係のない雑用などはさせてはいけませんので注意しましょう。
4.32時間研修の研修内容
32時間研修の研修の内容は外枠がしっかりと決まっています。
- 1.医師法、医療法、医薬品医療機器法、健康保険法等の関連法規の概要
- 2.個人情報の保護に関する事項
- 3.当該医療機関で提供される一般的な医療内容及び各配置部門における医療内容や用語等
- 4.診療録等の記載・管理及び代筆、代行入力
- 5.電子カルテシステム(オーダリングシステムを含む)
これらの5項目に基づいた内容で研修を行うことと定められています。
概ねこの5項目を踏まえていれば、細かい内容や方法、時間配分などは病院で自由に設定していいようです。
たとえば、
医学一般と薬剤の知識 | 1.5時間 |
---|---|
医師事務作業補助者のあり方 | 1.5時間 |
診療支援業務と配置部署の診療の流れ | 1.5時間 |
医師法等、健康保険法等の関連法規の概要 | 1.5時間 |
このように、研修科目や研修時間は自由に設定可能ですし、「座学」のみならず「OJT」や「レポート形式」での研修も可能です。
5.32時間研修の受講時期
「医師事務作業補助者として配置されてから6か月間を研修期間とする」
とあるように、研修の時期は基本的には入職後ということになります。
ですが、
「32時間研修と同等の内容で既に研修を受講している場合は、改めて研修を受講しなくても良い。ただし、6か月の研修期間は要する」
ともあります。
※2018年10月9日 厚生労働省保険局医療課 疑義解釈資料の送付について(その8)より
6.ここまでのまとめ
つまり、ここまでをまとめますと、
- 資格は不要だが研修は必要
- 加算自体は医師事務を配置した日から算定可能
- 32時間の研修を医師事務に配置される前に受講済なら不要
- いずれにせよ6か月の研修期間は必須である
ということになります。
7.就職を有利に
これまでの内容を踏まえつつ、医師事務作業補助者として就職するなら給料が高く福利厚生がしっかりした病院の方がいいですよね。
ですが、そのような人気のある病院はそれ相応の倍率となるため就職は困難を極めます。
医師事務作業補助者として少しでも有利に就職するためにはどのようにしたらいいのでしょうか?
5-1.32時間研修を入職前に受講する
それは「事前に32時間研修を受講し終えておく」ことが挙げられます。
実際に医師事務作業補助者の求人募集に「32時間研修を受講済であること」という条件を設定している病院もありました。
病院側としては、就職希望者が32時間研修を修了していることが知識や技術の裏付けとなることはもちろんですが、研修の手間が省けることが大きなメリットでしょう。
5-2.32時間研修の代わりとなる講座
32時間研修の代わりとなる講座はいくつかの団体が有料で実施していたり、専門学校で1~2年のカリキュラムを設けているところもあります。
一例に日本病院会が実施する講座のリンクを貼っておきます。
全日本病院協会 医師事務作業補助者研修
他にもググればたくさんの講座が出てきますので、ご自身の場所的・時間的な都合に合ったものを選択してもらうとよいでしょう。
純粋に医師事務作業補助者としての就職だけを目標に考えるのであれば、専門学校などで1~2年間など長い時間に縛られることはコストパフォーマンスが低く不要と考えるため、ご自身のライフスタイルに合わせて一番よい研修を見つけて受講してください。
5-3.入職さえできればなんとでもなる
しかしながら、上記の講座は有料ですし時間もかかるためコストパフォーマンスが悪いです。
どのみち、就職してからしっかり研修がありますので、医師事務作業補助者の良い求人が出ていたら「講座を受けてから」と考えずに即受験することをおススメします。
まだまだ「32時間研修受講済」を募集要件にしているところはごく少数です。
就職活動はタイミングが一番ですから、まごまごしてるとせっかくの良い求人を棒に振りかねませんので、ダメもとでどんどん挑戦していきましょう。
8.おわりに
「働き方改革」に伴い、医師の加重勤務をカバーしようとするべく、医師事務作業補助者の雇用は急務です。
医師事務作業補助者は直接患者さんとは関わらないものの、間接的に医療を支えるためには不可欠で大切な職務です。
医師事務作業補助者での就職を考えている今、良い求人と出会ったのならすぐさま応募してみることが良いですし、まだ良い求人が見つからないのであれば、一旦研修に申し込むといった線引きでもいいでしょう。
医師事務作業補助者の活躍によって病院が円滑に回り、より多くの患者さんを救うことができる
これは大げさな話ではありませんので、医療スタッフの一員となり、病院や医師を支えてあげてください。