救急車を受け入れる病院の努力【病院と救急隊の関係性に迫る】

握手 医療現場

救急車を呼んだ時、なぜあの病院に運ばれたのだろう?

救急車で病院に運ばれた経験がある方は、このように疑問に思ったことはありませんか?

実は病院は、必死になって救急隊から患者さんを自分のところに運んでもらうよう努力をしているのです。

この記事では病院に医療事務員として勤める私が、過去に勤めていた病院を例に、病院と救急隊の密接な関係性についてお伝えしていきます。


こんにちは、ひとしです。

今回は病院と救急隊の関係性について、少し深堀していきます。

一般的な救急搬送については過去の記事で記載しておりますので、そちらからご覧いただくと、本記事がより理解しやすくなっております。

 

1.患者は〇〇?

病院にとって救急隊が運んでくる患者さんは、一般企業からすればクライアントからの「仕事の依頼」であり、歯に衣着せぬ物言いをすると、

利益

です。

例えば、手術が必要になった患者さんの場合、一連の入院で手術も行うとなれば、病院にはどれだけの収益が入ってくるのしょうか。

一例ではありますが、その額はおおよそ100万~1,000万円にも昇ります。

さすがに高額な大手術を行える病院は限られ、どの病院でもできるわけではありませんが、それだけ収益を生み出す患者さんならどんどんたくさん来て欲しいと考えることが自然な発想です。
 

2.病院の営業活動

病院は利益を追求してはいけない

というのが病院の性質ですが、だからといって完全に待ちの姿勢で営業活動をしないのであれば、収益は下がる一方です。

そのため、病院の職員が各消防署に足を運び、あいさつ回りをするのです。

たとえば、

当院では、優秀な医師が多数在籍しており、24時間救急体制をとっています。ですので、患者さんのためにも救急患者を最優先に当院に運んでください

と、その病院で診療できる内容や体制について説明し、救急患者の搬送をお願いしにいくのです。

もちろん、菓子折りなど持って行こうとも公務員である消防署は絶対に受け取れませんので、そんなことは絶対にありません。

3.営業活動により得られる効果

そのようなあいさつ回りによってどのような効果が得られるのでしょうか。

わかりやすい図にまとめましたのでご覧ください。

まずはあいさつ回りをしない、通常の状態です。

搬送依頼


このように、救急隊は119番通報を受けて現場へ駆けつけた後、患者さんを同一市内で近隣の病院にまんべんなく搬送依頼をかけます。

一つの病院にばかり患者さんを運んでは、その病院の救急体制が混乱してしまいますので、当然の配慮です。

しかし、あいさつ回りを行い、「うちにたくさん患者さんを運んで来てください!

と言えばこうなります。

救急搬送 偏り


このように、救急隊は一つの病院に集中して患者さんを運ぶのです。

もちろん、患者さんの中にもかかりつけの病院がありますから、ある程度搬送先はばらけるものであり、上のケースは極端な例ではあります。

ですが、病院側はこれを狙って営業をかけるわけです。

救急隊からの搬送依頼を、若手の医師が誤って断ってしまった場合、偉い副院長が消防署に謝罪しに行くということもありました。

それほどまでに、病院と救急隊は密接な関係にあるのです。

 

4.救急隊に対しての労をねぎらう

救急隊が病院に患者さんを搬送した際、基本的には患者さんの情報を病院側に申し送りをしてすぐ消防署へ帰りますが、病院には缶コーヒー程度の救急隊専用の飲み物が用意されており、無料で振舞っています。

また患者さんの状態によっては、救急隊に病院に待機してもらわなければならない時もあり、そういったケースでは救急隊専用の豪華なソファがある休憩室に案内して、救急隊をねぎらうのです。

あくまで一例ですので、このような救急隊に対するねぎらいを全くやっていない病院もあるでしょうし、逆にもっとすごい接遇のところもあるでしょう。

このような「救急隊に対するねぎらい」もまた、救急隊により多くの患者をその病院へ搬送しようという気にさせるかもしれませんね。

119番通報が出された時に救急隊の喉が渇いていた場合、

A病院は飲み物が無いけどB病院には飲み物があるからB病院へ搬送しよう

という気持ちにならなくもないとは言えない?

 

5.おわりに

以上、ここまで病院と救急隊の蜜月関係について述べてきましたが、大前提として、

救急隊と病院は地域住民ののため、昼夜を問わず必死になってその業務にあたっている

ということだけは決して忘れないでいただきたいと考えます。

そして、間違っても病院が患者さんの不幸を願っているわけではありません。

不幸にも病気や事故をこうむってしまった人たちを、

「最善の手を尽くして診療しますので、一人でも多くの患者さんを当院に運んでください」

ということです。

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