夜間や休日に急に発熱や腹痛、ケガなどが生じて医療機関を受診しなければならなくなった時は不安でたまりませんね。
病気やケガの心配があることに加え、病院での支払いはどうなるのか、健康保険証は必ず必要なのか、手持ち金が足りなかったらどうしよう・・など、様々な疑問が生じてきて余計なことも気にしないといけません。
安心してください。病院によっては支払いは後日となるケースも多いです。
この記事では、医療事務として10年以上の経験を持つ筆者が、病院を夜間や休日に受診する際の注意点についてお伝えしていきます。
いざという時の緊急時に備え、普段から事前に調べておくことが大切ですので、ぜひ最後までお読みください。
目次
1.夜間や休日の定義
「夜間」や「休日」と言っていますが、それらは時間帯によって区分されています。
わかりやすくグラフでお示しします。
このように、時間や曜日によって「時間内」「時間外」「休日」「深夜」の4種類の区分されています。
これを見てお気づきにかった方、そうです、「夜間」という区分は正式にはありません。
午後診察が終わった後など、通常の診察時間が終了する概ね19時頃から翌朝の6時頃までを一般的に「夜間」として扱っています。
上記のグラフは、大抵の病院で実施されている診療時間の設定ですが、あくまで一例です。
あなたの最寄りの病院が掲げている診療時間とは異なる場合がありますので、ご注意ください。
たとえば、平日に17時~21時で午後診察を行う病院もあれば、20時~0時などに診療時間を設定してる病院もあります。
2.夜間休日の支払いについて
では、夜間や休日などに病院を受診した場合、医療費の支払いはどうなるのでしょう?
それは病院の体制によって異なり、大別して以下の2つに分けられます。
- 事務当直者がいて日中と同様に医療費を請求されるケース
- 警備員や電話番しかおらず支払いが後日になるケース
この2パターンがあります。
2-1.事務当直者がいる場合
夜間や休日でも事務当直者がいる病院では、治療が終わった後の医療費の計算を行うことができます。
その場合は、基本的にはその時に医療費を支払う必要があります。
ほとんどの病院ではクレジットカードが使えますし、フロア内にはATMを置いているところもありますので、手持ちのお金がなくてもなんとして支払うことはできるでしょう。
ただ緊急のことですので、どうしても支払いができない場合は、病院の指示に従って後日支払うなどの対応をとればOKです。
病院によっては「債務確認書」といった書類を書き、運転免許証などの身分証明書のコピーをとってもらうことで支払い日を約束して後日支払うといった対応をとってくれるところもあります。
銀行振込もほとんどの病院で可能です。
法律的な支払い期限はありませんが、病院側が例えば「1週間以内」などルールを設けているのであれば、極力従うようにして差し上げてください。
2-2.事務当直者がいない場合
警備員や電話番の方のみで、事務当直者がいない場合は、医療費の支払いは後日に行うことになります。
平日の夜間に受診したのであればその翌日に、土日祝日などであれば休み明けに事務員が医療費を計算し、請求書を発行します。
事務当直者がいない時点で、その病院は支払いに関して寛容なスタンスであるといえます。
そのため、支払いは次回予約の時や1ヶ月以内など比較的長めの期間を待ってくれるでしょう。
それでも、警備員や電話番の方が提示する書類などをよく読み必要事項を記載し、いつどのようにして支払うかをしっかり意思表示して差し上げてください。
3.健康保険証の取り扱いについて
夜間や休日に受診する際も、健康保険証(以下:保険証)は必要です。
保険証が無ければ医療費の請求が10割負担となり、全額請求されることになります。
ですが、保険証が無くても受診自体は可能ですので、保険証が探しても見つからない場合や、出先のため保険証を持っていないケースでも緊急事態であれば、躊躇することなく病院を受診してください。
以下に保険証を持参しなかった場合の、事務当直者がいるかいないかによる対応の違いについて説明していきます。
3-1.事務当直者がいる場合
事務当直者がいる場合は、その時に医療費の計算が行われますので、かかった医療費の全額(10割)を一旦支払う必要があります。
その後の対応は病院によって違いがあり、
- 後日保険証を持参することで保険が適用された差額を病院が返金してくれる(3割負担なら7割の返金)ケース
- 病院では返金してくれず、保険証の発行元である保険者に還付の手続きを申請しなけらばならないケース
など、これらのケースに分かれます。
3-1-1.病院で返金されるケース
1のケースでは、後日保険証を持参することで病院の会計窓口で差額分を返金してくれます。
クレジットカードで支払っていれば、クレジットカードを正しい金額で切り直すか現金で返金か、これも病院によってまちまちです。
クレジットカードを切り直す場合に備え、夜間や時間外に使用したクレジットカードと支払いの控えを忘れないようにしましょう。
3-1-2.病院で返金されないケース
2のケースでは、病院で返金してくれない場合、保険者に申請する必要があるので手間がかかります。
ご加入の健康保険が国保や協会けんぽ、組合などで申請先が異なりますので、ご注意ください。
クレジットカードで支払っていればポイントが付きますので、わずかですがメリットとなるでしょう。
3-2.事務当直者がいない場合
事務当直者がいない場合、医療費の計算ができず支払い自体が保留になっていますので、後日保険証を持参した際に保険が適用された金額を支払うだけで済みます。
ただ、遠方などの理由から後日に直接病院に行けない場合、保険証のコピーを郵送やファックスで病院に送る必要があります。
保険証のコピーやファックスで対応してくれればいいのですが、病院によっては、保険証の原本確認が原則であり、コピーやファックスでは対応してくれないところも多いです。
そのような場合、病院には10割で支払い(直接病院に行けないことが前提だから銀行振込)、ご加入の健康保険の保険者に還付請求を申請することで、保険が適用された差額分が保険者から返金されることとなります。
また病院によっては、「〇日以内に保険証の提示がないと病院では保険の取り扱いをしない」といったルールを敷いているところもありますので、警備員や電話番の方の説明をしっかり聞くようにしましょう。
4.本記事のまとめ
- 夜間や休日は概ねの定めがある
- 夜間や休日の医療費の支払いは事務員の有無による
- 夜間や休日であっても保険証は持参することが望ましい
- 大切なのはお金や保険証よりもあなた自身のお身体である
5.おわりに
以上、病院の夜間や休日のでの支払いや保険証の取り扱いについて説明してきました。
夜間や休日は医療機関に電話してもつながらなかったり自動音声だったり、また受診できる医療機関自体も限られていたりと、対応してくれるところは少なく不安は大きいです。
だからこそ、近隣の医療機関を事前に調べておき、緊急時の対応をスムーズに行うよう準備をしておくことがベストです。
また、お金や保険証も確実に備えておくことが望ましいですが、それらは二の次であり、一番大切なのはあなた自身のお身体です。
お金や保険証にとらわれることなく、緊急時はすぐさま救急車やタクシーを呼ぶなりして病状への対応を第一に考えてください。