歯科疾患管理料の令和2年度 保険改定のポイントを解説

歯科疾患管理料 歯科領域

今般、令和2年度(2020年度)の診療報酬改定の概要が厚生労働省より発表されました。

本記事では、多数ある改定項目の中でも「歯科診療報酬点数表」における「歯科疾患管理料」の扱いの変更についてご紹介していきます。

歯科疾患管理料の歴史において大変大きな改定となっており、令和4年度以降もご覧になっておいて損のない内容に仕上がっていますので、ぜひ最後までお読みください。


先日発表された2020年度(令和2年度)の診療報酬改定の内容について、歯科分野における「歯科疾患管理料」について着目していきます。

「歯科疾患管理料」は歯科治療の中でも最もポピュラーで算定しやすい管理料となっている反面、初診月を含む2か月間を逃すと算定できないルールになっています。

従来の算定ルールと新たに改定されたルールを比較し、今後どのような解釈を以て算定していくべきかをご紹介していきます。

はじめに結論ですが、

初診月を含む2か月間に一回目の歯科疾患管理料を算定しなくても、その後歯科疾患管理料は算定できる

ということです。詳しくみていきましょう。

1.歯科疾患管理料(100点)とは

継続的管理を必要とする歯科疾患を有する患者に対して、患者との協働により行う口腔管理に加えて、病状が改善した歯科疾患などの再発防止及び重症化予防を評価したものをいい、患者の同意を得た上で管理計画を作成し、その内容について説明した場合に算定する。

※社会保険所発行『歯科点数表の解釈』より抜粋(一部編集)

つまり、歯科疾患管理料とは、歯や口の中の疾患に対して治療を行っていく上で、患者さんやその家族さんと一緒に病状を管理していきながら、病状が良くなることや再発防止を目的として管理していくことに対しての評価、ということになります。

歯科疾患に対する管理が行え、歯科疾患管理料の算定基準を満たしていると、月1回に限り100点を算定することができます。
(1点=10円なので1,000円の収益です)

 

2.これまでの歯科疾患管理料

歯科疾患管理料とは
・継続的な歯科疾患の管理が必要な患者に対し、患者または家族の同意を得て管理計画を作成し、その内容について説明を行った場合に、初診日に属する月から起算して2か月以内に1回に限り算定する。
・2回目以降の算定も々算定基準だが、1回目を算定していることが条件となる。

※1初診日に属する月
・・例)2月15日に初診で受診→2月が「初診日に属する月」となる。
※2初診日に属する月から起算して2か月以内
・・例)2月15日に初診で受診→3月31日まで、ということ。

こちらにあるように、これまでの歯科疾患管理料は初診日から2か月以内(翌月の末日まで)に算定しないと、2回目以降を算定することができないルールとなっていました。

初診日の属する月から翌月の末日までの期間に1回目の歯科疾患管理料の算定を怠ると、今後その患者さんが新たに初診を算定するまではずっと歯科疾患管理料の算定ができないという扱いだったのです。

 
歯科疾患管理料

3.改定された歯科疾患管理料

歯科疾患管理料とは
・歯科疾患の管理が必要な患者に対し、患者または家族の同意を得て管理計画を作成し、その内容について説明を行った場合に算定する。なお、初診日の属する月に算定する場合は、所定点数の100分の80に相当する点数により算定する。
・2回目以降の算定条件に関しては変更なし。

2020年(令和2年度)の診療報酬改定でこのように改定されました。
まとめてみますと

  • 歯科疾患の管理に関して「継続的」という文言が削除された。
  • 「初診日に属する月から2か月以内」というルールが削除された。
  • 初診に属する月は点数が100分の80、すなわち通常100点が初診月は80点になった。

つまり、歯科疾患の「管理の程度」と「算定基準」が緩和され、改定前と比較して歯科疾患管理料が算定しやすくなったと考えることができます。

 
改定歯科疾患管理料

4.長期管理加算(新設)

歯科疾患管理料自体の算定ルール改定に加え、新たに「長期管理加算」が新設されました。

初診日の属する月から起算して6月を越えて歯科疾患の管理及び療養上必要な指導を行った場合は、長期管理加算として、次に掲げる点数をそれぞれ所定点数に加算する。

  • イ:かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の場合 120点
  • ロ:イ以外の保健医療機関の場合         100点

この新設から察するに、従来、初診から2か月以内の歯科疾患管理料の算定を逃すとそれ以上の算定ができないことから、初診に算定しなおす医療機関が多かったのでは?と推察します。

歯科疾患管理料を取るために高い初診料にされては点数が高くなるため、歯科疾患管理料本体の改定と共に、患者を再診で長期で管理することに対して評価するようにしたのではと考えます。

 

5.改定ポイントまとめ

以上のように、従来の歯科疾患管理料では、初診日の属する月から翌月の末日までの期間に1回目の歯科疾患管理料の算定を怠ると、今後その患者さんが新たに初診を算定するまではずっと歯科疾患管理料の算定ができないという扱いだったのです。

しかし今回の改定で「2か月以内」という文言がなくなり、代わりに「初診月が80点になる」という変更が加えられました。

このことから、従来なら初診月から2か月以内に1回目の歯科疾患管理料を算定しそこねた場合、新たに初診を算定しない限りは歯科疾患管理料は2度と算定できないというルールが緩和されたという解釈をすることができます。

初診月は80点になる反面、2カ月以内に取り忘れても「1回目」を算定することができ、1回目さえ算定できれば、今後2回目以降ももちろん算定し続けることができるという考え方をすることができます。

さらに「長期管理加算」を新設し、再診で患者を長期的に管理することに評価を加えたのです。

 

6.おわりに

従来から算定ルールが緩和されたことでだいぶ算定しやすくなった歯科疾患管理料。

管理計画の作成やその内容の説明などは変わらず必要ですので、適切に対応し算定の根拠を残してください。

今後も患者さんの歯や口腔内の状態をしっかり管理し、適切に歯科疾患管理料を算定していきましょう。

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