救急車の費用はどれくらいかかる?【正しく知って適正利用を】

救急車の費用 医療費

救急車を呼び、病院へ搬送してもらった場合、一体どれくらいの費用がかかるのでしょうか。

実際に救急車を利用したことが無い方が大半でしょうが、高齢の方や基礎疾患を持っている方、またその身内の方はいざという時のために事前に知っておきたいところですよね。

実は、救急搬送の費用は無料ですが、厳密には完全に無料とは言いきれません

この記事では、10年以上医療事務員として病院に勤める私が、救急搬送にかかる費用について具体的に説明していきます。

これを読むことで、救急搬送にかかる費用が明確となり、緊急時のお金の心配がやわらぎますので、ぜひ最後までお読み下さい。


こんにちは、ひとしです。

救急搬送の費用は無料ですが、厳密には「完全に無料とは言いきれない」とは一体どういうことなのでしょうか?

項目ごとに順を追って説明していきます。

1.救急隊は無料で搬送してくれる

緊急時に119番にかけると、患者さんがいるその場所(市区町村)の救急隊がかけつけ、病院へ搬送してくれます。

救急搬送については過去の記事で詳しく書いていますので、併せてご覧下さい。

救急隊は患者さんを病院へ運んでくれるとその役目を終え、消防署へ帰っていきます。

この際、患者さんは救急隊へ搬送の費用を払う必要はありません。

そうです、1円もかかりません。

無料だからこそ、救急車をタクシー代わりに使う患者さんがいることが問題となっているのです

2.夜間休日救急搬送医学管理料とは

「救急隊に搬送に対する費用を払わなくていいのに、救急搬送は無料ではない」

ではどこにお金を支払うのかというと「病院」です。

条件は限定的ではありますが、病院が救急搬送を受け入れることによって患者さんから算定できる項目があります。
それが「B001-2-6 夜間休日救急搬送医学管理料 600点(6,000円)」です。

2-1.夜間休日救急搬送医学管理料の概要

簡単に説明すると、
「病院側は、夜間や休日、時間外など通常の診療時間ではない時間帯に救急車で搬送された初診の患者さんを診療した場合、点数を算定できる」
ということです。

そしてその額が6,000円(1点=10円)です。
例えば保険証の負担割合が3割であれば、1,800円の自己負担となります。

つまり、この1,800円が「救急搬送に対する費用」に置き換えて考えることができるのです。

病院側が、夜間や休日、また時間外などの診療時間外に救急車で搬送される患者さんの対応自体やそれを維持する体制を整えておくことに対しての費用だと解釈することもできます。

ちなみに、一般的な症状の救急搬送を受け入れている2次救急医療を担う病院に搬送された場合は費用が発生しますが、よほど重篤な状態や高度な医療を要する症状の場合に搬送される3次救急医療を担う大学病院などに搬送された場合は費用はかかりません。

2-2.夜間休日救急搬送医学管理料の算定要件

『医科診療報酬点数表』に定められている夜間休日救急搬送医学管理料の算定要件を転記します。

以後、「算定できる」という表現が出てきますが、言い換えれば

病院側はその費用を患者さんに請求することができるよ!

ということです。

青色の枠内の文章は少し専門的でややこしいため、飛ばしてもらってもOKです。

B001-2-6 夜間休日救急搬送医学管理料 600点
注1
別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関において、当該保険医療機関が表示する診療時間以外の時間(土曜日以外の日(休日を除く。)にあっては、夜間に限る。)、休日又は深夜において、救急用の自動車等により緊急に搬送された患者に対して必要な医学管理を行った場合に、区分番号A000に掲げる初診料を算定する初診の日に限り算定する。
注2
急性薬毒物中毒(アルコール中毒を除く。)と診断された患者又は過去6月以内に精神科受診の既往がある患者に対して必要な医学管理を行った場合には、精神科疾患患者等受入加算として、400点を所定点数に加算する。
注3
別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、必要な医学管理を行った 場合は、当該基準に係る区分に従い、次に掲げる点数をそれぞれ所定点数に加算する。
イ 救急搬送看護体制加算1 400点
ロ 救急搬送看護体制加算2 200点

これらの算定要件をポイントを絞ってみていくと、

  • 1.救急車での来院
  • 2.休日や時間外であること
  • 3.「初診」算定時であること

これらの3つのポイントに集約することができます。

ポイントごとにみていきましょう。

2-2-1.救急車での来院

夜間休日救急搬送医学管理料は、その名の通り、救急車両(ドクターヘリも含む)で来院することが算定要件となっています。

そのため、徒歩や自家用車、タクシーなどで患者さん自身で来院されたケースでは費用はかかりません(算定できません)。

病院側で考えれば、患者さん自身で来られるより救急車を呼んで搬送された方が夜間休日救急搬送医学管理料を算定できるため、より「儲かる」ということです。

2-2-2.休日や時間外であること


救急車で搬送されたとはいえ、すべての曜日や時間帯で夜間休日救急搬送医学管理料を算定できるわけではありません。

こちらもその名が示す通り、夜間休日などの医療機関が表示する診療時間以外の時間帯でのみ算定可能です。

わかりやすくグラフでお示しします。

夜間休日救急搬送医学管理料

このように、曜日ごとに算定できる時間帯の条件が異なりますので注意が必要です。

概ねどの医療機関もこの時間帯で設定しているところが多いですが、あくまで一例であり、実際に医療機関が表示する診療時間以外の時間帯により大きく異なる場合もあります。

たとえば、平日に19時まで夜診(夕診)の診察を行う病院であれば、19時から算定することができます。

また20時~0時などに診療時間を設定してる医療機関では、その時間は算定することができません。

2-2-3.「初診料」算定時であること

初診料」を算定できる場合に限られますので、「再診」の患者さんでは算定できません。

搬送先の病院が初めて受診する病院ならば100%初診です。

過去に受診したことがある病院であっても、現在も継続した受診がないのであれば初診として扱われます。

かかりつけで定期的に受診している病院に搬送された場合は、再診として扱われるため、夜間休日救急搬送医学管理料は算定できません。

 

3.600点にさらに加算される項目

夜間休日救急搬送医学管理料の600点には、病院側がより体制を整えることで加算される項目があります。

詳細は省きますが、例えば救急車の年間受け入れ件数200件以上で、救急専門の看護師が配置されていると「救急搬送看護体制加算」としてさらに200点が加算される、といったこともあります。

こういった体制を整えてる病院に救急搬送された場合、600点+200点で800点、つまり救急車での搬送に対して8,000円(3割負担で2,400円)もの費用を患者さんは負担しなければならないということです。

このように「夜間休日救急搬送医学管理料」は、2年に一回の点数改定が行われるたび、点数が上がったり加算が加えられたりと、救急医療を担う病院側を手厚く評価していく傾向にあります。

 

4.Q&A

  • 患者の症状は関係ありますか→症状は関係ありません。
  • 救急搬送の距離は関係ありますか→救急車で搬送された距離は関係ありません。
  • 周囲の人に勝手に救急車を呼ばれたので払いたくありません→もちろん支払う義務があります。
  • 119番をかけた時間は17時ですが、どの時点が算定の基準となりますか→病院で受付された時間(病院着時間)が基準となります。
  •  

    5.本記事のまとめ

    • 救急搬送にかかる費用は無料であり救急隊への支払いはない
    • 時間帯によっては病院側に救急搬送を受け入れたことに対しての支払いがある
    • その額は健康保険の3割負担で1,800円程度かかり病院の体制によってはもっとかかる場合もある

     

    6.おわりに

    以上の内容から、救急搬送には一定の金額が発生することが明確となりました。

    これらを踏まえ、安易な救急車の利用を控えたり、日頃からかかりつけ医をもって定期的な受診を心がけるなどして無駄な出費を抑えるようにしましょう。

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