「働き方改革」の流れを受け、注目を浴びてきている医師事務作業補助者。
求人数も多く、お給料や雇用条件も良いこともあり、たくさんの方が医師事務作業補助者を目指そうとされていることでしょう。
ただ医師事務作業補助者は資格が不要な職種ではあるものの「32時間研修」が設けられていることがネックとなっています。
「この試験に合格すれば32時間研修が免除される」
というような検定試験があれば、自学自習で隙間時間に勉強してサクッと合格してサクッと医師事務作業補助者の求人に応募したいという方もいるでしょう。
残念ながら、医師事務作業補助者の32時間研修が免除される試験はありません。(2020年6月現在)
手っ取り早く近道をみつけて医師事務作業補助者として勤め出したいところですが、そうはいかないようです。
ただ、資格ではありませんでしたが、代わりに本記事では32時間研修の代替となる講座をお伝えしていきます。
医師事務作業補助者の求人募集要件に「32時間研修を終えていること」を設けている病院も少しずつ出てきました。
32時間研修の受講の有無だけで応募できないといったことにならないよう、本記事を最後までお読みいただき、32時間研修を受講しておくようにしましょう。
目次
1.32時間研修の概要
医師事務作業補助者の32時間研修については、以下の記事で解説していますので、そちらをご覧ください。
今回の記事の主旨に合わせて、内容をかいつまんでいくと
- 医師事務作業補助者になるための資格は不要
- 配属後に6か月の研修期間とその中で32時間の研修が必要
- 各団体が実施する32時間研修に則した講座を事前に受講していると配属後の32時間研修は免除できる
- 32時間研修を事前に終えていると就職にも有利である
※1研修期間は医師事務作業補助者として配属された日が起算日です。
※2「6か月の研修期間」はどうあがいても必要ですので省略します。
以上のことを踏まえ、32時間研修に則した研修を実施してるいくつかの団体の講座をご紹介していきます。
2.32時間研修の代替となる講座
以下に代表的な講座を3つ挙げていきます。
2-1.ニチイ
医療事務ではおなじみの「ニチイ」が実施する講座が「メディカルドクターズクラーク講座」です。
医師事務作業補助者として必要な知識や技術を学び、最終的には一般財団法人 日本医療教育財団のドクターズクラーク®を取得してゴールとなるようです。
ただホームページには「32時間研修の代替になる」とは明言していませんので、「大丈夫かな?」と気になるところです。
さらに、この講座は受講期間が5.5ヵ月と長く、かつ受講料が税込175,134円と驚異の価格です。
キャンペーンなどでいくらか安くはなるようですが、どれだけ質が良くてもちょっとこれは手が出しにくい高級品だと考えます。
「ドクターズクラーク®」については以下の記事をご参考ください。
2-2.株式会社日本教育クリエイト
学校法人三幸学園グループ 株式会社日本教育クリエイトが実施する講座が「医師事務作業補助者養成講座(ドクターアシストクラーク)」です。
32時間研修に即した研修内容となっており、講座修了者は履歴書に「医師事務作業補助者養成講座 修了」と書けることが魅力的です。
受講に際しても、通学と通信のどちらかを選択することができ、受講者のライフワークに合わせた学習を行うことができます。
通学と通信の料金及び期間はこのようになっています。
- 通学コース 税込88,000円 6日間
- 通信コース 税込70,400円 約2か月
通学コースの方が割高で受講日程が固定な反面、わずか6日間で済むメリットがあります。
逆に通信コースの方は割安ですが、郵送で課題をやりとりするため、期間が2か月以上と長めです。
ニチイの講座が最終的に一般財団法人 日本医療教育財団のドクターズクラーク®取得をゴールとしてますが、このドクターズアシストクラーク講座は、試験の受験はないようです。
2-3.公益社団法人 全日本病院協会
公益社団法人 全日本病院協会が実施する講座が医師事務作業補助者研修です。
集合研修を二日間とレポート形式で32時間研修の内容を包含しており、修了者には修了証が授与されます。
また、協会ホームページで「『医師事務作業補助体制加算』を算定するための研修要件を満たしており、「修了証」は研修証明となります。 」と明言していることも心強いポイントです。
費用は税込32,400円と上記二つの講座と比べると格安ですが、東京と福岡で年一回のみ行われるため、受講希望者の都合を合わせづらく、即効性に欠けることが難点です。
2-4.一般社団法人 日本病院会
一般社団法人 日本病院会が実施する講座が医師事務作業補助者コースです。
税込30,000円で受講することができ、講座二日間とリポートの形式で32時間研修を網羅しています。
以前までは主要都市での合同研修でしたが、2020年以降はオンラインでの受講が常態化されました。
費用もお手頃で実施団体も申し分ありませんが、この講座を受けるには「病院管理者が認めた者」とあります。
病院管理者とは院長のことを指し、理事長でも可能のようですが、つまりは「どこかの病院に所属している人」のみがこの講座を受けることができます。
医師事務作業補助者として就職を考えているものの、現時点で病院に所属していない人は受講できないため、そのような方々は選択肢から外さざるを得ません。
3.結局どの講座が一番おすすめか
32時間研修の代替となる4つの講座をご紹介してきました。
どれも一長一短あり、どれがベストかは判断しかねるところですが、一つ言えることは
そこまで大金をかけることはない
ということです。
今回は医師事務作業補助者の32時間研修の代替となる講座を検索して、出てきたものを4つだけご紹介してきましたが、おそらくまだまだ探せばあるかと思いますので、ご自身の都合やお住まいと合致するような講座を探してみてください。
4.裏技で無料で研修を受講する方法
「医師事務作業補助者として働きたい病院はあるけど、その病院は応募要件に『32時間研修を受講済の者』と定めているためすぐには応募できない。でも、研修の代替となる講座は時間や場所、また費用の都合が合わないなどで受講することができない。どうしたものか・・」
となった場合、ですが裏技的な方法としては、
医師事務作業補助者としてすぐに入職できる病院に入職し、その病院で32時間研修を受けることです。
どこにしろ病院に医師事務作業補助者として配属されれば長くても6か月後には32時間研修が修了しています。
32時間研修は一度修了すれば、転職をしても新たな職場で再度研修を受ける必要はありません。
A病院で修了すればB病院では研修不要です。
この方法を利用して、32時間研修を受講済の状態で目当ての病院の求人に応募してはどうでしょうか?
なかなか是非が問われる行動かもしれませんが、現代はもはや組織に忠誠を誓う時代ではありませんので、利用できるものは利用すればいいと考えます。
4.唯一32時間研修が免除される資格
医師事務作業補助者の32時間研修を免除するための試験はありませんが、所持していると32時間研修が免除される資格はあります。
それが以下の記事に書いてある「診療情報管理士」です。
診療情報管理士は診療情報を材料に統計・分析を行う職種ですが、医療事務員でも取得を求められるほどメジャーな資格になってきています。
しかし「医師事務作業補助者の32時間研修を免除してもらいたい」というモチベーションだけで取るにはその道のりや費用は険しく、最低でも2年の時間と30万円程度の費用がかかります。
そのため、医師事務作業補助者の32時間研修を免除してもらうためにわざわざ診療情報管理士を取得するというよりは、診療情報管理士を既に所持している人が、選択肢の幅を増やしたり活躍する領域を広げることに寄与しているといったところでしょう。
5.本記事のまとめ
- 32時間研修の代替となる講座はある
- 講座には費用と時間がかかり選択が難しい
- 病院に入職して研修を修了して転職するのも手
- 診療情報管理士は資格所持で唯一研修が免除される
6.おわりに
以上、医師事務作業補助者の32時間研修の代替となる講座について述べてきました。
本音で言えば講座の受講にこだわることなく、32時間研修未修でも入職可能な病院に医師事務作業補助者として入職することがベストだと考えます。
実務ほど力がつくものもありません。一日も早く医師事務作業補助者として働けるよう手段を講じていきましょう。