皆さんが風邪をひいたりケガをしたりすると、近くの医療機関に受診しますね。
その場合、日本人の多くの人の考え方として、
「何かあった時に小さい診療所では心配だから、大きな病院に受診しよう」
という心理が働き、最初から大きい病院を受診する傾向にあります。
ですがこれは得策とは言えず、無駄な費用がかかってしまいます。
この記事では、病院に医療事務員として10年以上のキャリアを持つ私が、お得に病院を受診する方法を解説していきます。
これを読むことで、無駄な医療費を払わずに済むようになりますので、ぜひ最後までご覧ください。
日本人には大病院志向が強く根付いており、大したことのない症状であっても最初から大きめの病院を受診する人が大変多いです。
ですが、最初から大病院を受診すると、初診時に「選定療養費」がかかってしまい、大金を支払わなければならないことになります。
そんな無駄な出費を避けるべく、日本の医療制度の仕組みを理解し、賢く病院を受診していきましょう。
1.医療の区分け
まず、日本の医療は一次・二次・三次医療に分けられます。
- 一次医療・・通常の外来診療を行う
- 二次医療・・入院や手術が必要となるような医療を担う
- 三次医療・・高度な医療を提供する
このように分類されています。
つまり、風邪やケガなどのちょっとした症状に対する医療は、一次医療である診療所が担うのがセオリーです。
ですが、上記のとおり、日本人の多くが「大病院志向」を持っているため、簡単な症状であっても二次医療や三次医療の病院に受診することで、
「数時間もの待ち時間と2分で終わる診察」
といった状況を患者さん達自身で生み出してしまっているのです。
2.選定療養費とは
このような状況では、二次医療や三次医療を担う大きな病院が簡単なケガや風邪の対応に追われてしまい、本来の役割である救急医療や高度な手術、また研究などに時間が割けなくなってしまいます。
そういった患者さんの受診状況を抑制するために、大きな病院は「選定療養費」という費用を設定しています。
選定療養費とは、
診療所からの紹介状無しにいきなり大きな病院を受診した場合、普通の医療費にプラスして保険のきかない費用(=選定療養費)を請求することができるのです。
※「選定療養費」の中には初診時に算定するもの以外にもたくさんありますが、今回は割愛します。
その額は病院にもよりますが、概ね1,000円から高いところでは10,000円を超す設定をしている病院もあります。
もちろん10,000円の選定療養費を支払ったからといって、手厚い待遇やより良い医療が受けられるといったことはありません。
この選定療養費を設定することによって大きな病院は、
「紹介状無しにいきなりうちに来るなよ」という姿勢を示すのです。
決してその選定療養費で儲けようとは思っていません。あくまで受診の抑制が目的です。
3.病院の規模等による違い
本記事で扱う「大きな病院」とは、200床以上の病院です。
「床」とはベッド数で入院患者が入院できる数を表しており、200床以上のベッド数を持つ病院が選定療養費を設定し患者さんから徴収することができるのです。
逆に言えば、199床以下の病院は紹介状がなくても選定療養費がかかりませんので、診療所のような受診のしかたができます。
3-補足.特定機能病院及び地域医療支援病院
さらに特定機能病院及び地域医療支援病院だと、選定療養費として5,000円以上の金額を設定することが明記されています。
その上これらの病院は、再診でも選定療養費がかかるケースもあり、最低でも2,500円かかります。
少し難しいですが、病院のホームページには病院の種別や選定療養費に関する情報が必ず載っていますので、事前に確認しておきましょう。
4.選定療養費を節約するために
大きな病院で選定療養費を支払わないで済むためには、「紹介状」が必要です。
ですので、選定療養費を節約するためにも、些細なケガや病気ではまず診療所を受診してください。
診療所の先生に診察してもらい、簡単な検査をして薬をもらったけれども、それでもよくならないようであれば、紹介状を書いてもらって大きな病院を受診してください。
診療所というワンクッションを挟んだとしても、トータルでは費用も時間も抑えることができるケースがほとんどです。
診療所で事足りるのならばそれに越したことはありませんしね。
厚生労働省も医療機関の受診の仕方について以下の通り、一次医療としての診療所からの受診を推奨していますので心がけてみてください。
5.おわりに
「ちょっとしたケガや病気の受診はまず診療所から」
医療の提供を受ける際、皆さんが1人ひとり適切な受診を心がけることで、多くの人がまんべんなく医療を受けることが可能となります。
緊急時には焦ってしまいますから、日ごろから近隣の診療所や病院などの情報を整理しておき、その時の症状に見合った医療機関を即座に選択できるようにしておきましょう。
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