医療事務系の職種に就きたいと考え、資格や検定について調べていくと「認定医師秘書」という資格にたどり着かれた方もいらっしゃるでしょう。
果たして認定医師秘書とは?他にもたくさんある医療事務系の資格とどのような違いがあるのでしょうか?
この記事では、「認定医師秘書」の概要を明らかにしていきます。
医療事務系の資格には似たような名称がいくつかあるため、ご自身のやりたい職種と合致しているものかどうかをしっかり把握し、間違えることなく資格取得を目指していきましょう。
認定医師秘書とは、「特定非営利活動法人 医療福祉情報実務能力協会」が商標出願しているもので、業種は「医師事務作業補助者」のことを指します。
詳しく見ていきましょう。
1.認定医師秘書とは
認定医師秘書に関して、「特定非営利活動法人 医療福祉情報実務能力協会」のホームページに以下のように説明されています。
医師事務作業補助者とは(中略)厚生労働省が示す業務内容に必要な知識・技能を修得する時間数(32時間以上)が定められています。当協会の附属校ならびに指定校では、この規定に準じた教育を修了した証明として認定医師秘書TMとして実務能力認定評価を実施しています。
※特定非営利活動法人 医療福祉情報実務能力協会ホームページより引用
つまり、医師事務作業補助者になるべく教育を受けた知識と技術を証明し、その実務能力を評価することを目的として作られた試験です。
「特定非営利活動法人 医療福祉情報実務能力協会」が実施する医師事務作業補助業務実務能力認定試験に合格することによって「認定医師秘書」の称号が与えられるのです。
1-補足.商標出願とは?
補足ですが、「TM」が表す商標出願とは、特許庁に申請し商標として登録されたRマークの登録商標とは違い、登録されていない商標です。
医療福祉情報実務能力協会は「認定医師秘書」をTMマークを用いて将来的に商標登録出願する予定か、もしくは単に業務で使用していることをアピールしているだけということになります。
そのため、「医療福祉情報実務能力協会」でなくとも「認定医師秘書」の商標を使うことができます。
2.医師事務作業補助者とは
医師事務作業補助者については別の記事で記載していますので、そちらをご覧ください。
3.認定医師秘書の仕事内容
認定医師秘書の仕事内容はすなわち医師事務作業補助者の仕事内容ということになります。
そちらも別の記事で記載していますので、ぜひご覧ください。
4.認定医師秘書の受験資格
認定医師秘書には受験資格があり、以下のいずれかに該当する方のみ受験することができます。
- 当協会指定教育機関において認定医師秘書講座の受講修了をした者
- 医療機関において医師事務作業補助職として6ヶ月以上(32時間以上の基礎講習や研修等を修了している者を含める)の実務経験を有し、当協会規定の実務経験証明書において、実務経験保有者と確認が取れる者
※医療事務、経営・管理に関する事務・看護・診療補助等は該当しない
つまり医療福祉情報実務能力協会が指定する認定医師秘書の講座を受講した人もしくは、医師事務作業補助者として実務につき、6か月の研修と32時間の研修が修了した人が受験対象ということになります。
また、実務経験は医師事務作業補助者としての実務経験のみが対象で、医療事務や総務的な事務、看護や看護助手などはカウントされないようです。
この手の資格試験にしては、なかなかハードルの高い受験資格です。
また、受験料は8,200円です。
5.認定医師秘書を取得するメリット
以上を踏まえ、果たして認定医師秘書を取得するメリットはあるのでしょうか?
「認定医師秘書」はまだまだ知名度が低く(2020年6月時点)、ネームバリューは皆無でしょう。
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ですが、認定医師秘書の受験資格を鑑みると、認定医師秘書の資格所持者は「32時間研修(またはそれに代替できる研修)を既に終えている」と言えます。
32時間研修を終えているのであれば、病院側は研修に時間とお金を割かずに済みますし、ある程度の知識と技術も保証されていますから、医師事務作業補助者として求人に応募した際は、面接でその点をアピールできるといいでしょう。
とはいえ、32時間研修が終えていれさえいればいいだけなので、わざわざ認定医師秘書を取得することに大きなメリットがあるとは思えません。
6.本記事のまとめ
- 認定医師秘書は技能認定振興協会の登録商標である
- 認定医師秘書は即ち医師事務作業補助者のことである
- 認定医師秘書の受験資格がある時点で32時間研修が済んでいる
- 認定医師秘書を取得することで就職に有利に働くとは思えない
7.おわりに
認定医師秘書は複数ある医師事務作業補助者の資格の中の一つであるということについて明らかにしてきました。
時間的・金銭的な余裕がある人は認定医師秘書のような資格を勉強するのもよいでしょう。
しかし、様々な団体が医師事務作業補助者の別名を考えて定着させようとがんばっている様子がうかがえますが、医師事務作業補助者の資格は、雇用に資格を要しない以上コストパフォーマンスが高いとはいえませんので、すぐさま就職してしまいましょう。