医療系資格のダブルライセンスは意味がない【専門学校が儲けたいだけ】

医療コンパス-ダブルライセンス 医療系専門学校

「これからは一つの資格だけではやっていけない。複数の資格が必要だ。」
としてダブルライセンスを推奨する専門学校が増えています。

幾分かのメリットもあるかもしれませんが、一番の理由はその専門学校が儲けたいだけです

複数のスキルを掛け合わせてレアな人材になるということはホリエモンさんなども推奨されるものとしておっしゃっていますが、「複数の資格を取れ」とは言っていません。

果たして医療系専門学校はどのような思惑でダブルライセンスを推奨するのか、またダブルライセンスは本当に意味がないのかについて、元専門学校教員である筆者がお伝えしていきます。

これを読むことでダブルライセンスの性質を把握することができますので、ぜひ最後までご覧ください。

1.学生単価を上げたい

ただでさえ少子化で、18歳人口がどんどん減っていっており、大学や専門学校は「全入時代」と言われ、入学希望者全員が入学できるような時代を迎えつつあります。

そのためどの学校も入学生数の確保に手を焼いており、定員割れもしばしばです。

少ない人数でも効率的に収入を確保するには、「学生単価を上げる」しかありません。
※学生単価とは客単価と同義で用いています。

1年間に学生から得られる授業料は決まっていますので、学校が収入を減らさないためには入学者数を定員いっぱいまで確保することと退学者を出さないことが挙げられます。

入学者数は定員割れが常となる可能性が出てきたし、その上退学者も数名はコンスタントに発生してしまう、そのような状況で学生単価を上げる秘策として生み出されたのが「ダブルライセンス」です。

1人の学生の目指す資格を、1つから2つ、2つから3つあるいはそれ以上に数を増やすことで学生からより多くの学費を徴収することができるのです。

そうした学生単価を上げる目的として「ダブルライセンスを取ろう!」という宣伝文句が出来上がるのです。

2.医療系資格には不向き

大変聞こえの良いダブルライセンスですが、実は医療系資格には大変不向きです。

そもそも医療というのは、当初医師が全ての医療行為を行っていましたが、その一つ一つが専門分化していくことで、看護師、薬剤師、診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士などの医療専門職種が国家資格として成立しました。

それぞれの専門領域は多少なりとも交わる部分もありますが、全く異なる部分も多くあるからこそ専門分化していったわけですから、これらの資格を複数所持しているからといって、有効活用することは考えにくいです。

筆者自身も専門学校の目論みに見事にハマり、診療情報管理士と社会福祉士という水と油のようなダブルライセンスを取得しましたが、二つが交わることはありませんでした。

余談ですが、こう考えると全ての医療行為を行える医師という資格は本当に頂点に君臨していると感じます。

3.現場では一つしか使わない

結局のところ、複数の資格を所持していたとしても業務に携わるのはどちらかの資格だけになります。

二つの部署に所属することなんてできませんからね。

知識としては大いに越したことはありませんので、例えば看護師と臨床検査技師のダブルライセンスだとした場合、検査値や検査項目に強い看護師が誕生します。だからなんだと言われればぐうの音も出ませんが(苦笑)。

小さな診療所やクリニックなどでは、看護師さんなどが事務的なことも行うケースもありますが、それはそういった職場に就職した際に教えてもらえばいいのであって、資格として取得する必要は一切ございません。

4.就職活動に有利にはならない

上述のように、ダブルライセンスと言ってもどちらか一つの資格でしか働いてもらうことはできないため、特に就職に有利に働くということはありません。

業を修めたという努力は認められる可能性がありますが、結局どっちがやりたいのかわからず、確固たる意志のない人間だと判断されかねません。

筆者も診療情報管理士と社会福祉士を持った上で診療情報管理士の求人に応募しましたが、面接などでは社会福祉士に触れられることはありませんでした。

5.学生にとっては極めて困難になる

ダブルライセンスを達成するには、それぞれの資格のカリキュラムを順当にこなして単位を取得し、かつ試験に合格する必要があります。

限られたかけがえのない学生生活を勉強詰めで送るのは少々もの悲しくはないでしょうか。

大学生が遊びながら充実した学生生活を送っている中、ただでさえ忙しい専門学校の学業がより困難になってしまうのに、得られるものは大卒のそれ以下の価値しかないのです。

6.一つで価値のある資格を取得すればいい

結局のところ、「一つのライセンスだけでは価値がないからダブルで取得を」となるのです。

極端な例でいえば、医師さえ持っていればその他の資格は不要ですからね。

一つの資格の中にも「上級〇〇」や「認定〇〇」、「専門〇〇」といった上位のものがありますので、大したことのない資格ばかりを持った器用貧乏にならず、一つのことをしっかりと突き詰めた人材になりましょう。

7.付加価値なら英語がおすすめ

付加価値を持った人材になりたいのなら英語がおすすめです。

これからのグローバル社会において英語が話せる医療従事者というだけで大変重宝されます。

多種多様な諸外国の方が来院されても、英語が話せれば大抵の方とのコミュニケーションが可能で、混ざりにくい資格を二つ持っているより就職にも実務にも断然有利に働くのです。

とはいえ、ここでも医師の皆さんなら英語も堪能な方が多いですから、ほんと先生ってすごいですよね。

8.本記事のまとめ

  • ダブルライセンスは専門学校の策略
  • ダブルライセンスは現場では生かせない
  • 小さい診療所やクリニックなら重宝されるか
  • 資格取得が難しく学業が大変困難になる
  • 一つで価値のある資格をとればいい
  • 英語が話せると付加価値になる

9.おわりに

以上、専門学校が己の利益を得んがために学生に無理を強いるダブルライセンスについて説明してきました。

専門学校の妄言を信じ切って突き進むのではなく、必ずご自身で業界のことや大学への進路も含めて入念に調べた上で学校を選択してください。

再三言いますが、専門学校はあなたにとって耳障りが良く都合のいいことしか言いません。

「目の前の先生や広報担当者は何に主軸を置いて私に進路を薦めているのか?」を常に考えながら学校選びを模索していきましょう。

タイトルとURLをコピーしました