高校2年生から医療事務を目指すな【目標は高く】

医療事務

高校生の皆さんにとって、進学や就職など高校卒業後の進路は大変悩ましいものでしょう。

あまり難しいことは考えず、今しかない高校生活を存分に楽しみ、3年生の中頃になってからようやく少しずつ考え出すという方が大半だと思います。

そんな中、高校2年生という早期から進路について考え、行動する人がいるのもまた事実です。

ですが、それだけ意欲的に行動しているにも関わらず、将来の仕事として医療事務を目指す人を筆者は多く見てきました。

高校2年生から医療事務を目指すことはちょっと待ってください!

この記事では、医療事務として働き、かつ医療事務を目指す専門学校教員の経験もある筆者が、高校2年生が医療事務を目指すことの是非についてお伝えしていきます。

高校生の方はもちろん、その保護者の方にも大変ためになる記事になっておりますので、ぜひ最後までお読み下さい。

1.医療事務は簡単になれる

医療事務という職種に国家資格はなく、民間資格が無数に存在するだけですが、資格がなくても医療事務として就職することはできます。

もちろん有名な大学病院や医療センターなどの医療事務を目指すとなると倍率が高いため、簡単に誰もが名だたる病院で働けるということではありません。

ですが、有名な病院で働けるとしても、医療事務という職種では立場も給料も低いことは紛れもない事実です。

筆者自身、医療事務としてもう10年以上病院で働いていますが、医療事務であるがゆえに、悔しくつらい思いをしたことも多々ありました。

まだまだ若く可能性に満ち溢れた高校2年生の皆さんにそんな思いはしてもらいたくないのです。

つまり、もっと上を目指してみてはどうかということです。

 

2.高校2年生のあなたには時間がある

高校2年生ということは、受験勉強の準備期間として十分な時間があります。

通っている高校の偏差値や従来の勉強習慣にもよりますが、本人が必死に進路を考え、今のうちからコツコツと一生懸命勉強に打ち込めば、よい結果を導きだすことができます。

それほどまでに時間があるのに、なにも医療事務という低い目標を設定することはないのです。

 

3.専門学校がさらに追い打ちをかける

医療事務を目指す場合、進路として考えられるのは大学ではなく専門学校でしょう。

医療事務系の専門学校はたくさん存在し、どこも学生確保に向けて必死にアピールしています。

すなわち、医療事務系の専門学校はほぼ無試験で簡単に入学することができるのです。

そういった誰でも簡単に入学できるような学校は、高校3年生の1月になっても何もしてこなかったような生徒が駆け込むところであり、高校2年生から進路を考える立派な生徒が選ぶような進路ではありません

また、どれだけ素晴らしい専門学校であったとしても大卒という肩書きにはかないません。

専門学校で医療事務を目指すということが、どんどんと将来の可能性を狭めた選択をしていることになるのです

たとえば、中学生が高校を選択する際、普通科より工業科や商業科に進んだ方がその後の選択肢が狭まることは大体理解できると思います。(工業科や商業科を否定する意図は毛頭ございません)

それと同じで、大学ではなく専門学校で、さらに医療事務という進路がせっかく早期に活動している高校2年生の皆さんの可能性を狭めることになるのです。

先述した通り、医療事務は資格がなくてもなれますので、普通の大学に行った人でも医療事務として働くことができます。

 

4.専門学校関係者の話を鵜呑みにするな

専門学校では高校2年生を対象としたオープンキャンパスもあり、早い段階から入学者候補を集めようという魂胆があります。

高校2年生は進路のことなど考えず、部活やアルバイト、クラスメイトとの時間を夢中になって楽しんでいる人がほとんどです。

そんな中、高校2年生の時点で目的意識を持って大学や専門学校のオープンキャンパスなどに参加する人は本当にレアで優秀です。

専門学校側も優秀な高校2年生を放っておきません。あらゆる手段を用いて入学してもらおうと必死になります。

「あなたはとても素晴らしい」
「成績もトップクラスになれるだろう」
「あなたになら良い就職先を紹介できる」
「医療事務は働きやすくやりがいのある仕事だ」


という耳障りの良い言葉を巧みに使い、必死に勧誘するのです。

もちろんこれら専門学校側の説明が全て嘘というわけではありません。
(誇張して盛っているところはあるでしょうが)

ですが、嘘ではないとはいえあなたにとって最善とは言えないのです。

医療事務として働き出したあなたの人生の相談に乗ることはできても責任を持つことはできません。

 

5.医療事務のメリットは他の職種にもある

医療事務のいいところを挙げると
1.クリニックや病院は全国無数に存在し就職先が豊富
2.配偶者の転勤にも柔軟に対応することができる
3.パートから正社員まで自由な働き方が選べる
4.患者さんの役に立つことができる
5.デスクワークが中心

他にもいろいろあるでしょうが、代表的なのはこの4つです。

おわかりいただけただろうか・・・完全に公務員の下位互換です。

また同じ医療系職種と比較するならば、薬剤師、看護師、臨床検査技師、臨床工学技士、診療放射線技師、管理栄養士などが挙げられますが、上記5つのメリットのうち、「5.デスクワークが中心」以外はこれらの医療職にも当てはまることです。

さらに、薬剤師や臨床検査技師、視能訓練士などその他医療系職種は患者さんの検査や指導など身体的には比較的軽作業です。
(頭はめちゃくちゃ使います)

医療事務はデスクワークが中心だから身体的に負担が少なそうに思いがちですが、単純に国家資格保持者より給料が少なければ、その分長い時間を働かないことには満足な給料にはなりません。

医療事務だけが持っているメリットなど存在しないのです。

医療事務を目指そうと考えていた方は、他の医療系国家資格も視野に入れて調べてみてください。

 

6.本記事のまとめ

  • 高2で医療事務を目指すのは待って
  • 時間があるのに医療事務は目標が低すぎる
  • 専門学校自体の学歴が応用が利かず弱すぎる
  • 専門学校は入学者確保のためいいことばかり言う
  • 医療事務のメリットは他の資格にもたくさん存在する

 

7.おわりに

以上、高校2年生の段階で医療事務は目指すべきではない理由について述べてきました。

筆者自身が医療事務として働いている以上、書いていて心苦しい思いになりました。

ですが現在、ブラック病院での医療事務や医療事務を養成する専門学校教員の経験を経て、名実ともに素晴らしい病院に所属することができました。

また医療事務の延長として、診療情報管理士や医療情報技師を以て病院全体の動きに幅広く参加できるようになりましたので、そうやって早期に病院運営に関わることができることは医療事務の特権とも言えます。

専門学校の説明だけを信じるのではなく、医療事務がどういうものかを自分でしっかりと下調べをし、納得のいく進路に進んでください。

 

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