令和2年7月1日より小売店におけるレジ袋の有料化がスタートしました。
各所で賛否両論巻き起こり、不便を強いられている方も多いことでしょう。
本記事では、病院や調剤薬局におけるレジ袋の取り扱いについて記事を展開していきます。
結論から申し上げますと、病院や調剤薬局でもレジ袋の料金は徴収することができます。
ただ、少し解釈に迷う情報も出てきました。
厚生労働省が発表する情報を踏まえながら、病院や調剤薬局におけるレジ袋有料化についてみていきましょう。
保険局医療課から令和2年6月30日下記事務連絡が出て、医療機関も「自主的取組としてプラスチック製買物袋の費用を徴収する」ことは、保険薬局と同様に徴収する事ができると明示しました。
1.厚生労働省保険局の事務連絡
令和2年6月30日に厚生労働省保険局医療課から出た発表(事務連絡)では、以下のように示されています。
疑義解釈資料の送付について(その20)
【療養の給付と直接関係ないサービス等】
問1 令和2年7月1日から医薬品・化粧品小売業等において、プラスチック製買物袋の有料化が必須となるが、保険薬局において、薬剤又は治療材料等の支給を行う場合に、一部負担金とは別にプラスチック製買物袋の費用を徴収することは、「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則」に抵触するか。
(答) 患者に交付するプラスチック製買物袋に係る費用は、療養の給付と直接関係ないサービス等の費用に該当するため、抵触しない。ただし、この場合、予め患者に対し、サービスの内容や料金等について明確かつ懇切に説明し、同意を確認の上徴収するなど「療養の給付と直接関係ないサービス等の取扱いについて」(平成17年9月1保医発第 0901002 号)に従い運用すること。
問2 保険医療機関において、薬剤又は治療材料等の支給を行う場合に、一部負担金とは別に自主的取組としてプラスチック製買物袋の費用を徴収することは、「保険医療機関及び保険医療養担当規則」に抵触するか。
(答) 保険医療機関自体の自主的取組としてプラスチック製買物袋の費用を徴収する場合についても、問1と同様に取り扱って差し支えない。(なお、保険医療機関内に設置された別法人による小売業者は、プラスチック製買物袋の有料化が必須である。)
多めの文章で説明されていますが要約すると、
診療所や病院、調剤薬局などでもレジ袋の費用は徴収しても良い。ただし、事前に患者さんにはしっかり説明し同意を得るように。
ということで、患者さんからレジ袋代はもらっていいということになります。
診療所や病院にしろ調剤薬局にしろ、高齢者の方などは大量の薬を処方されますので、レジ袋が必要になります。
レジ袋の費用徴収に「事前にしっかり説明」もなにもないですが、医療関係者の方はレジ袋費用を徴収することを口頭で説明するなり、その旨掲示するなりしておくことが求められるでしょう。
ちなみに文章中にある「療養の給付と直接関係ないサービス等の取扱いについて」(平成17年9月1保医発第 0901002 号)の「療養の給付と直接関係ないサービス」には、入院時のテレビ代や散髪代、クリーニング代などを指します。
また、病院の中にあるコンビニなどの小売店ではレジ袋有料化が必須であるとも明記されています。
以上、これだけで終われば何も悩むことはないのですが、厚生労働省は別の見解も示しています。
2.厚生労働省医政局の事務連絡
1の項の保険局とは別の厚生労働省医政局 地域医療計画課が、令和2年6月30日という保険局と同日に以下のような見解を示しています。(事務連絡 令和2年6月30日)
レジ袋有料化(プラスチック製買物袋有料化)について より抜粋
- 本取組の対象となるのは小売業に属する事業を行う事業者であり、医療業は対象外であること。
- 医療機関内の調剤所において調剤された薬剤の被包(薬袋)及び薬袋とは別に提供されるレジ袋は、 本取組の対象となる容器包装には当たらないこと。
- コンタクトレンズ等の医療機器やサプリメント等の食品などについて、それが、患者のために、療養の向上を目的として行われるものである限り医療サービスの一環として交付、販売されているものであることから、この際に付される容器包装は、本取組の対象となる容器包装には当たらないこと。
- 医療機関内にあっても、売店等の小売業者は、本取組対象となること。
- 本取組の対象とならない事業者においても、自主的取組として同様の措置を講じることが推奨されていること。
と示されています。「本取組」は今般のレジ袋有料化のことを指します。
要約しますと、
- 本取組は医療業は対象外である
- 薬袋やそれを入れるレジ袋は本取組の対象ではない
- コンタクトレンズやサプリメントなども同様の扱い
- 病院の中のコンビニなどはレジ袋有料化必須である
- 本取組対象外の事業者でも自主的に取り組むことが推奨される
とまあ・・なかなか解釈が難しいところですね・・。
「対象外だけど推奨するよ」といったところでしょうか。
3.結局のところはどうなるのか
保険局と医政局の事務連絡を鑑み、様々な保険医協会などのホームページを参考にした結果、
今回のレジ袋有料化の取り組みは医療機関や調剤薬局は対象外だけれども、規則には反しないため、事前に患者さんに説明をしてレジ袋の費用を徴収することは問題ない
とったところに落ち着かせるべきであると考えました。
5.おわりに
病院や調剤薬局でレジ袋が必要になるケースは少ないとはいえ、予想していたより薬が多かったり、たくさんのコンタクトレンズや栄養補助食品などを購入したりするとレジ袋が必要になるケースがあります。
レジ袋の費用を徴収するか否かはそれぞれの組織の判断に委ねられますが、もし徴収するのであれば、クレームにならないよう事前に患者さんにしっかりと説明をして納得してもらうようにしていきましょう。