高額療養費に含まれないものについて解説

高額療養費 高額療養費

日本が世界に誇る健康保険制度には、極めて優れた制度である高額療養費制度があります。

医療費が一定の限度額以上は支払わなくてもよいという、大変素晴らしい制度ではありますが、医療費の中には高額療養費に含まれない項目が存在します。

簡単に大別すると、保険がきくものは高額療養費に含めることができますし、保険がきかないものは高額療養費に含めることができません。

本記事では、高額療養費に含まれない項目を明確にしていくことで医療費に対する不安を軽減することを目的としています。

入院や手術など、いざという時のお金の心配を少しでも和らげるよう、予備知識として定着させておけば安心ですので、ぜひ最後までお読みください。

1.高額療養費制度について

高額療養費制度については以下の記事に詳しくまとめていますので、まずはこちらからお読みいただくとスムーズです。

次項より高額療養費に含まれない項目について説明していきます。
 

2.食事療養費

食事療養費とは、入院中に病院から出される食事のことを指します。

入院中は病院が作った食事を食べることになり、「ウーバーイーツや出前館を頼むからいらない」なんてことはできません。

総額〇〇円のうち、患者さんの所得等によって費用は前後しますが、健康保険が適応されて一般的な方で1食460円が自己負担額となります。

この食事代の自己負担分は高額療養費には含まれません。

入院中の食事は量が物足りなかったり美味しくなかったりと、クオリティに対して割高に感じますが、医師と栄養士が管理し、患者さんの病状に合わせた最適な塩分量や栄養素のもので仕上がっていますので、クレームをつけずに食べてください(笑)。

 

3.文書料金

文書料金は、主に医師の記載する診断書などがこれに該当します。

代表的なものでいえば、患者さんが加入している医療保険や生命保険などの保険会社に保険金を請求するために必要となる診断書です。

その他、特定疾患や身体障害などに対する給付を申請するために必要は書類もありますし、通院証明書や領収書の再発行手数料なども文書料金として扱われるでしょう。

文書料金は文書によって料金が決まっているものや無料だと定められているもの、また医療機関で独自に料金設定をしていいものまで様々です。

たとえば診断書1枚の料金が2,000円~5,000円と、医療機関によってこれ程の差がある場合もあります。

診断書の料金が〇〇病院では2,000円だったのに、この病院は5,000円だなんて高すぎる!安くしてくれ!

などと値引き交渉することは徒労に終りますので、やめておきましょう

話が脱線しましたが、文書料は高額療養費の対象とはならないため、医療保険などに加入されている方は事前に料金を確認しておきましょう。

 

4.差額室料

差額室料はいわゆる入院時の個室料金のことで、差額ベッド代とも言われます。。

通常、入院は3~6人など複数患者がいる大部屋での入院が普通で、その場合室料はかかりません。

それに対し、大部屋ではない個室はプライバシーが守られ快適な入院環境が得られます。

そのため、個室料金として差額室料が発生するのです。

医師の判断において、患者さんの病態によっては個室管理が必要なケースもあり、重症個室に入室することもありますが、そういった場合は差額室料はかかりません。

ちなみに、大部屋など室料がかからないベッドが空いていないからといって、患者さんを無理やり個室に入れ室料を取ることは禁止されています。

ご本人が希望しない限りは差額室料はかかりませんのでご安心ください。

 

5.選定療養

 

選定療養とは、患者さん側の選定(自由な選択)によるサービスであり、患者さんそれぞれの選択肢を広げ、利便性を向上させるために設けられたものです。

乱暴な言い方をすると、「保険診療の範囲内ではそこまで贅沢やわがままは聞けないけど、その分お金を払ってくれるならいいよ

ということで設定された療養です。

選定療養費の中で一番馴染みのあるもので言えば、診療所等の紹介状無しで大病院を受診した際の初診時にかかる費用です。

また、前項の室料差額もこの選定療養に含まれます(わかりやすくするため別記しました)。

その他、選定療養費に該当するものは以下の通りです。

  • DPC病院のおける入院日数180日を超えた日以降にかかる費用
  • 歯科の金属材料差額(金属床総義歯、金合金等)
  • 予約診察制をとっている病院での予約診療
  • 規定回数以上の医療行為(リハビリなど)
  • 180日以上の入院(入院医療の必要性が高い場合は除く)
  • 小児う蝕の治療後の継続管理(フッ素付加等)
  • 診療時間外の診療

 

6.評価療養

評価療養とは、厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養やその他の療養であり、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養として厚生労働大臣が定めるものを指します。

簡単にいうと、現時点では保健適応ではないけれど、将来的に保健適応とするかどうかの評価を行っているものをいいます。

評価療養の中で有名なものに先進医療があります。

6-1.先進医療

先進医療とは、その名の通り先を進んだ医療であり、最先端の医療行為です。

ですが、先を進み過ぎているあまり、保険を適応させるかどうかの認可がまだ確定していないため保険診療の対象になっていません。

つまりは健康保険が効かない医療です。

6-2.その他の評価療養

  • 医薬品、医療機器、再生医療等製品の治験に係る診療
  • 薬事法承認後で保険収載前の医薬品、医療機器、再生医療等製品の使用
  • 薬価基準収載医薬品の適応外使用(用法・用量・効能・効果の一部変更の承認申請がなされたもの)
  • 保険適用医療機器、再生医療等製品の適応外使用(使用目的・効能・効果等の一部変更の承認申請がなされたもの

 

7.本記事のまとめ

  • 高額療養費には含まれないものがある
  • 健康保険が適応される範囲に限定される
  • 食事や文書料、個室などが代表的なものとなる
  • 先進医療などいずれ保健適応になると含まれる可能性がある

 

8.おわりに

以上、高額療養費に含まれないケースについて代表的なものをまとめてきました。

細かく見ていけばここで説明した以外にも高額療養費に含まれないものもありますが、大抵は本記事の範囲で把握しておけば大丈夫です。

お金の不安は制度への理解を深めることで払拭することができますので、治療自体に集中するためにも医療制度について本ブログで一緒に勉強していきましょう。

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