医療事務でのブラック病院の経験談part3

ブラック病院 病院一般

ブラック企業に勤めていると、なにが普通でなにが普通じゃないのかわからなくなってきますよね。

ブラック企業ほど、従業員を洗脳して労働のみに注力させようとするため、大変タチが悪いです。

この記事では2つのブラック企業を渡り歩いた私が、医療事務としてブラック病院で経験したおかしな出来事を紹介していきます。

皆さんの職場に当てはまったのならば、そこは確実にブラック企業です

そんな職場に留まる必要は全くありません。

この記事を読むことでブラック企業の洗脳が解け、改めて転職を考えていただく方が増えることを目的としております。。


筆者が新卒で入職した病院は、まぎれもなく漆黒のブラック企業でした。

それはもう政治家の腹黒さすら凌駕する勢いです。

ですが当時の筆者は、その病院が社会に出て一つ目の職場だったので、繰り広げられる日常が「異常」であったことに全く気付けませんでした。

そんなブラック病院での経験談をシリーズ化してお送りしております第三弾です。

今回は各項目同士の関連は少なく、オムニバス形式となっております。

最後までお読みいただくことで、皆さんが今後就職や転職をする際にブラック企業を回避できる力が身に付きますので、ぜひご覧ください。

1.会議の扱い

現職場のホワイト病院では、廊下に

「会議も業務です!」

といった内容のポスターがでかでかと貼られており、勤務時間外に行う会議を禁止しています。

このような姿勢からも労働者がとても守られていると感じずにはいられません。

新卒で入職したブラック病院は、もちろん会議は業務扱いではありません。

当たり前ですね、ブラックなのですから。

その病院は8時半から始業ですが、8時に来ることが強制されており、かつ8時の会議と8時15分の課内会議と8時25分からの全体朝礼に参加しなければなりません。

しかし入職当初の12年前(2008年)ではこのような風習でしたが、近年はさすがにそれではマズいと考えたようで、8時の会議は当直明けの人と役職者のみで行い、8時25分からの全体朝礼も8時30分からになりました。

しかし、課の会議は8時15分からのままのため、会議中に出勤してきた職員に対して上司は冷ややかな目で見ていました。

おかしいですね。始業時間までにはちゃんと来ているのに。

上司の言い分としては

「始業時間には患者さんがたくさん来院しているのだから、早めに来て準備をしてから始業に臨め」

とのこと。

いやいや、早く来させたいならその時間から始業時間にすればいいでしょう。

始業時間前出勤の強制は毎日の積み重ねでじわじわと効いてきますが、月1回17時以降に行われる課内会議も異常でした。

その課内会議は、報告事項や日々の問題点の共有、そして今後より良くするためにはどうすればいいかといったような議題で繰り広げられていきます。

ええ、そうです。17時以降に開催されるため、職員は退勤の打刻をしてから会議に参加します。

収益など各自で読めばいいだけの話を読み聞かせしたり、現場レベルではどうしようもない土台無理な話を「どうすればうまくいくか」と考えさせられたり、上司からの熱い御高説を頂戴したり・・などなど

そんな会議が22時頃まで続くのです。

本当、地獄ですね。

まだまだこのような企業は多いでしょうが、もう一度言いますと、

会議も業務です。

屈することなく声を上げていきましょう。

 

2.ミスの扱い

ブラック病院は職員が起こした業務上のミスに大変厳しかったのです。

もちろん、ミスは未然に防ぐべきであり、業務をいい加減にすることはいけません。

一生懸命働くことはとても重要です。

しかしブラック病院では、全てのミスは悪であり、

責任はミスした本人に帰属する

と、そういった風土が強固に存在していました。

たとえば、会計担当者が金額の過不足を出してしまった場合、

  1. 先輩へ報告
  2. 原因を追及すべく、どの患者で過不足が出ているか、レジの打ち間違いや金銭授受の不備を探す
  3. 2を見つけるまで探す。見つからなくても90分程度はその作業に時間をかけないといけない
  4. 原因がわかった場合は、過不足をどうするか(次回来院時に返すか支払ってもらうか、ご自宅へ訪問するか等)を考え、その日に実行できることは行う
  5. インシデントレポートを作成する
  6. 上司へ報告

これだけのタスクが必要となります。

ちなみに過不足となった金額による線引きはなく、最低額の10円であってもこれらのタスクをこなさないといけません。

そして、これらミスへの対応はすべて「残業申請をしてはいけない」のです。
※午前中の金額が合わず、17時までに上記の作業を行うケースもありますので、その場合はこの限りではありません。

「自分が起こしたミスなのだから、それの対応に残業代を出せるわけがない」

という考えですね。

これは疲労困憊状態にある当直明けでもあてはまります。

16時~翌9時の当直業務でなにかしらのミスがあった場合、たとえ一睡もしてなくて激烈に眠かったとしても、翌9時以降に残って残業申請をせずに後処理をしなければいけません。

私も当直明けなのに、日勤者と同じ17時まで病院にいたことがあります・・つらかった。

ミスが起こる要因には、確かに本人の技量や注意力の問題もありますが、その背景には

・患者数増加
・人員の不足
・業務の集中
・システムの複雑さ

これらのような、職員一人の力ではどうすることもできない要因が存在していることも事実です。

それなのに、ミス=本人の過失ととらえ、残業代も出さずに叱責して後処理をさせるのは

まさに「ザ・ブラック企業」の所業といったところです。

皆さんの職場は不当に残業申請を拒まれてはいませんでしょうか。

 

3.未収金に対する取り組み

飲食店や商店では、「サービスを受けたり物を購入した時にお金を払う」というのが常識であり、こうして文章にすることさえもおかしな話ですが、病院というところは、

「治療を受けた患者さんがお金を払って帰る」

という当たり前の常識が通用しません。

なぜなら、救急搬送されるような緊急の患者さんもたくさんいるからです。

“急に病気が発症した” ”交通事故に遭ってしまった” などなど…

様々な要因によって緊急で病院を受診しなければならない事案が発生します。

そして、それらは患者さんのおサイフ事情とは無関係にやってきます。

単純に「その日財布に大した金額が入ってなかった」ということも往々にしてありますが。

もし皆さんに高いけど欲しい物ができた場合、どうしますか?

・貯金をしてお金が貯まるまで待つ
・ローンを組む
・我慢する

概ねこの3種類の行動になると思います。

しかし、ケガや病気はそういうわけにはいきません。

お金があろうと無かろうと、問答無用でやってきます。

そのため、病院の会計窓口では治療費を請求されても払えない人(未収)が多く発生するのです。

ブラック病院では1日につき10人程度の患者さんが未収になります。

未収になる患者さんには「いつ支払えるか?」という約束状を書いてもらうのですが、項目が結構多くて書くだけでも一苦労です。

加えて捺印をもらうのですが、印鑑を持ち歩いていない人がほとんどなので、そういう人には「拇印」をもらいます。

これがもう評判が悪くて悪くて・・

「病人にこんなもの書かせるのか!」
「次の診察の時に払うと言っているだろう!」
「俺が盗人に見えるのか!」

とまあ、このように支払う意思を見せてくれている患者さんならまだいいのですが、ケンカや交通事故の被害者ともなると、

相手に請求しろ。俺は被害者だ。

の一点張りで、患者さんご自身が支払う気は全くありません。

病院としては治療をした患者さん本人にしか請求できないため、患者さんと加害者で話し合ってもらうしかありません。
(ちなみに交通事故なら保険会社と病院とでやりとりします)

ブラック病院はこの未収金にとても厳しいのです。そう対応した職員に厳しいのです。

その約束状に少しでも記載漏れがあろうものなら上司が烈火のごとく怒り、指導します。

「いつ払いにくるんだ!」
「マンション名が抜けてるではないか!」
「保証人は本当に誰もいないのか!」
「自分の借金だと思ってもっと必死になれ!」
「拇印ももらっていないじゃないか!」

ある日、拇印をもらい忘れた後輩が、この鬼の指導を恐れ、自分の指で押してしまうという事件が発生しました。

そこまで部下を追い詰めないと気が済まないブラック上司。

常軌を逸していますね。

お金の回収はとても大切ですが、部下への気遣いの方がもっと大切ではないかと考える次第です。

 

4.思い切って退職することの意義

ザ・ブラック企業」といったように、残業申請の抑制・サービス残業の強制、24時間当直、休日出勤、恫喝、パワハラ、セクハラ・・等々という不遇の環境であったブラック病院。

そんな劣悪な環境であるため、私は何度も上司に辞意を表明しました。

しかし、当時の私は驕り高ぶっていたため、「来年に辞める」などと退職日を1年後に設定していました。

1年程度かけないと自分の仕事を後輩に割り振れないと考えていたのです。

愚か者ですね。

その間にいろいろなことがあって「やっぱり辞めない・」という手のひら返しが2度ほどありました。

上司からの圧力で極度のストレス状態に陥り、良性発作性頭位めまい症を発症してめまいに苦しむ日々が続くこともありましたが、幸い数多くの同期にめぐまれ、励まし合いながら業務に励んでおりました。

そんな私が退職を決意したのは、次の職場からのお誘いです。

ヘッドハンディングなどいうような格好の良いものではなく、単に私が卒業した学校からお声がかかっただけです。

私を期待して選んでくれたことや給与がブラック病院より大幅にアップすることが転職の後押しとなりました。
(まあ実際その専門学校もまた、病院と比較しても勝るとも劣らないブラック企業でしたが・・それはまたの機会に)

ブラック病院にいた頃は、
「一から人間関係を構築するのは面倒だ」
「転職しても自分には大してできることがない」
「実家からも近いし同期も多いし悪いことばかりではない」
「どこに行っても状況がそれほど変わることはないだろう」

といったことを理由に、二の足を踏んでおりました。

ブラック企業の手口である洗脳がだいぶ進んでいることも伺えますね。

しかし思い切ってブラック病院を辞めたことで今の幸せがあります。

「仕事の悩みが一切ない」というのはこれほどまでに素晴らしい日々を与えてくれるのか・・

こんな毎日を経て、楽しいことだけができる環境は決して悪いことではないのだと気づきました。

ブラック企業に在職中の皆さん、そこにいてはまともな思考にならず、どんどんと侵食されていきます。

必ずそこより良い環境にはありますので、思い切って退職して幸せを掴みましょう。

 

5.おわりに

過去を思い出して記事を執筆しておりますが、現在のホワイト企業に勤める私の感覚では考えられない日々が平然と起こっていたのだと愕然とします。

一人でも多くの方がこのブラック企業の異常性に気づき、ブラック企業を辞めていくことで、ブラック企業が淘汰されていきます。

記事に挙げたようなサービス残業や休日出勤、有給休暇を取らせないといったことをしないと成り立たないような職場な今すぐ見限ってやりましょう。

人出不足の今、あなたの力を必要としている場所はたくさんあります。

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