「専門学校に行こうと思っているけど、たくさんありすぎてどこがいいのかわからない」
このように考える高校生の皆さんは多いと思います。
「どの学校がいいか」はその人それぞれ目指す資格や職種によって違いますので一概には言えませんが、数多くある専門学校の中でも決して行ってはいけない専門学校は存在します。
この記事では、元専門学生でありかつ元専門学校教員である筆者が、高校生の生徒さんが間違った専門学校選びをしないよう、行ってはいけない専門学校の特徴を紹介します。
いくつか存在しますが、おそらく一番の重要ポイントである特徴は
定員割れしていることです。
定員割れとは、その学校(学科・学部)の規定の入学者数より下回っているということです。
たとえば、40人の定員であるにも関わらず、30人など40人を切った人数しか入学者がいないといった状況です。
以下に定員割れした学校の特徴を紹介していきますので、1つずつ確認していきましょう。
1.財力に欠ける
定員割れしている専門学校は、単純に財力に欠けます。
学校運営に必要なお金は、国からの補助金もありますがメインは学生からの学費が主たる財源です。
それが少ないとなると学校運営にかけられる予算は必然的に少なくなります。
予算が少ないと、例えば国家資格を合格させることに特化した優秀な講師を呼べなかったり、新しい機材やトイレ等学校設備の導入・リフォームができなくなったりし、学生一人ひとりが本来受け取れるはずだったサービスの質が低下します。
2.教育がおろそかになる
定員割れしているということは、教員がその分学生募集に注力せざるを得ず、ベクトルがそちらに向きます。
本来の教員の役割は、言わずもがな「教育」ですが、学生が集まらないことには学校運営がままならないため、教育そっちのけで学生募集に主軸が置かれるのです。
専門学校ではオープンキャンパスが毎週のようにたくさん実施されますが、教員がそれの対応に追われてしまい、教育に満足に時間を割くことができません。
新入生に一人でも多く入学してもらうため、高校生に興味を持ってもらうようにパワーポイントを工夫して作成してプレゼンし、できもしない理想論を語るのです。
時には、教員が高校へ訪問に行き、学校説明をしたり、進路指導担当の先生に話をしに行ったりし、営業活動を行わなければいけません。
そんなことに時間が割かれるため、在校生の授業はいい加減なものとなります。
まさに、釣った魚には餌をやらない状態です。
3.学生が学生募集に駆り出される
専門学校はイメージが大切です。
そのため、華やかな演出をするべくブログやパンフレットの撮影に学生が利用されるのです。
見栄えのいい子にお声がかかり、「学校でできるアルバイト」のような感覚で撮影に臨むことができます。
毎週実施されるオープンキャンパスでも在校生スタッフとして、思ってもいないような学校の良いところを来場者に話さないといけません。
それに加え、ブログやツイッターでも授業風景などをさかんにアップされることもあるのです。
何が問題かというと、こんなことを教員が必死になってしないといけないのです。
そのため、おのずと本来の教育がおろそかになります。
少子化で学生が集まらないため、教員一人一人の負担は大きくなるというブラックな労働環境が教育の質を低下させているのです。
4.教職員にとってはブラックな環境に
定員割れが起こると財政が圧迫されるため、学校運営者は削減できるお金はないかと考え、教職員の人件費に目が向けられます。
人件費を抑えるように圧力をかけられた結果、サービス残業の強制や黙認、自宅での業務の強要、休日出勤などなど・・それらが当たり前の状況になっていくのです。
例えば、「授業準備をする余裕がないから昨年と同じ内容でいいか」と情報のアップデートが行われず、いい加減な授業が展開されます。
こんな労働環境でいい授業ができるわけがありませんし、そんな教員からは学ぶ側の意欲も削がれてしまいます。
5.入学前に定員割れを見極める方法
ここまでお読みいただいた方は自分が入学を考える専門学校が定員割れしてないか、さぞ不安になったことでしょう。
安心してください。入学前に定員割れを見極める方法はあります。
それはいつまで学生募集を行っているかどうかです。
例えば4月度入学に対し、直前の3月になっても学生募集を行っているところは間違いなく定員割れしています。
定員に達すれば募集を停止したり、定員に達した旨を専門学校のホームページ等で確認することもできます。
ですが国家資格などの学科でなければ、定員を定めていても法律的な縛りがないことも多く、儲けを優先して定員以上の学生を集めるために3月など最後の最後まで学生募集を行うところもあります。
そんなケースでは定員割れを見極めることはなかなか難しく、学校側もひた隠しにしますので、遠回しに聞いたところで教えてくれません。
また高校生の生徒さんがオープンキャンパスで聞いてもごまかされて教えてくれないでしょうから、ここは親御さんから
「定員割れしていませんか?」
と、どストレートに聞いてもらうのが一番でしょう。
6.おわりに
今回は専門学校に関してでしたが、これらは大学にも通じる話だと考えます。
「定員割れ」の状態は学校全体に余裕がありません。
しかし、サービスの質が低下するからといって学費が安くなるわけではもちろんありません。
同じ学費を払うなら、やはり定員割れしていない学校(学科・学部)で、財政が潤っていて、在校生のためにたくさんお金と時間を使ってくれる学校が一番です。
入学を考える際はそのような観点から学校を評価してみてください。
この記事を読んだ高校生の方は、内容を踏まえてより良い進学先を目指してください。
今後もいろいろな専門学校の話を書いていきますので、皆さんの選択肢に役立ててくれましたら幸いです。