専門学校によってはアメリカやヨーロッパなどの海外に1週間程度行き、研修を行うカリキュラムを備えています。
語学の勉強になったり異文化交流をしたり、また海外の先端的な技術を学んだりと大変魅力的な内容なように思えます。
ですが、その海外研修には30~50万円程度の費用が発生します。
果たしてそれほどの大金を使ってまで行く価値のあるものなのでしょうか?
筆者はその価値はないと考えます。
この記事では、専門学生として海外研修に行ったことと、専門学校教員として研修に引率した経験のある筆者が、海外研修が無駄であると考えた根拠や実態などをお伝えしていきます。
記載内容の全ては「30~50万円かかる割には」が前提にあります。
研修内容が1から10まで全部悪いということではございませんので、その点にご留意ください。
専門学校在学中で海外研修を控えている学生の方や、専門学校選びに頭を悩ませている高校生の方などに参考になれば幸いですので、ぜひ最後までお読みください。
目次
1.学業面では大した学びはない
1-1.数時間の研修はしれている
トータルで数時間、研修先の国や大学ならではの情勢や文化、風習などを踏まえた授業がありますが、それを学んだところで
「だからなに?」って内容です。
その専門学校が目標とする資格や職業に直結して役立つということはありません。
海外ならではの施設見学ができたとしても、いち専門学校が許される見学範囲はそれほど特別ではありません。
世界を知ることで視野が広がると言いますが、世界なんてネットでいくらでも検索して知ることができます。
1-2.海外の事情はほぼネットで完結する
これだけインターネットやスマートフォンが発達した今、世界の最新事情は日本でも得ることできますし、日本自体が最先端を走っている分野もたくさんあります。
たとえばアートやデザインや服飾など芸術的な分野の専門学校であれば、海外の作品や建築物を直に見ることでひらめきを得ることができるかもしれません。
ですが医療や工業など技術的な分野であれば日本もワールドスタンダードです。
海外の設備が日本と大差あるとは思えません。
1-3.異文化交流はもはや国内でもできる
海外研修では現地の大学生と交流する機会がありますが、そこに重きを置くことも難しいです。
今や日本国内でいくらでも外国人と交流することができますし、それこそネットでオンライン英会話などもできます。
1-4.日本を知らないのに海外を知っても仕方がない
しっかりと日本のことを勉強した学生が、
「諸外国の実情を知り日本との違いを把握してより良くしていきたい」
と考えるのならば海外研修に行く価値もありますが、大半の学生は日本のことさえも満足に勉強していない人がほとんどです。
授業もそんなに真面目に聞いていないですよね?筆者がそうだったように・・。
2.レジャーは友達と行けばいい
レジャーを重視して行くならば、友達と個人的に行けばいいのです。
その方がより安く、かつレジャーに特化した内容で海外に行くことができるでしょう。
海外研修で実施されるレジャーは大変限られていますし、買い物等も日本のショッピングモールと似たようなものです。
取り扱っている商品も結局日本国内で買えるものやネット上にあるものがほとんどです。
団体行動ですから時間的な制約もあり、自由な行動はできません。
仲良くもない同級生との団体行動は苦痛でしかありませんし、それが一週間も続けば気がおかしくなってしまいます。
仲が良い友達とだけで本当に楽しいと思えるプランを組んで海外旅行に行くことの方が何倍も価値がありませんか?
3.専門学校側のねらい
3-1.広報活動の一環
海外研修はパンフレットやホームページに映えるため、広報の強いウリです。
海外研修の華やかで楽しそうな雰囲気を見れば、入学を悩んでいる人の後押しのなると考えているのでしょう。
学業以外のプラスアルファとして海外研修は「やっている感」がとてもよく出て、なにも知らない入学希望者からすれば、大変魅力的に見えます。
入学希望者に「楽しく勉強できそう!」と思ってもらうにはうってつけということですね。
余談ですが、その広報材料を得るため教員として引率した際は「いかに映える写真が撮れるか?」に注力させられました。
教員向けに良い写真を撮るための講習が開かれるほどです。
研修の引率で極度の疲労に襲われる中、毎日その日一日の研修風景をブログにまとめてホームページにアップする作業もあり、大変苦痛な広報活動を強いられるのです。
3-2.利幅が大きいのか
学生を海外研修に行かせることによる利幅が大きい可能性もありますのが、これはわかりませんでした。
ただ筆者自身が18年前に行った時と近年の海外研修を比べると、費用はほとんど変わっていないにも関わらず、内容や日数が激減していたため、かつかつな状況で利幅はほとんどないのではと考えます。
3-3.上層部から教員への圧
教員として受け持つクラスが海外研修に行くとなった時、上層部からは「クラス全員を必ず参加させるように」とノルマと強いプレッシャーをかけられていました。
海外研修は必修のカリキュラムであり、原則として「行かないという選択肢はない」とのことです。
教員は上から強いプレッシャーをかけられているため、なんとかして学生全員を海外研修に行かせようと必死に説得します。
筆者が学生の時は海外研修の費用対効果が見いだせず、行かない方向で考えていたのですが、担任から学校に呼び出され、長時間にわたって軟禁状態で説得された結果、こちらが折れて参加するはめになりました。
その時の担任の一生懸命さはどの授業よりも一番でした。
教員になった筆者は、海外研修に行きたくない学生の気持ちがわかるため、なんとかかんとか言い訳をつけて行かせない方向で上層部に報告していました。
4.行きたくなかったら行かなくていい
海外研修に行きたくなければ行く必要はありません。
学校側がどれだけ強制だとしていても、なんとでも抜け道はあります。
「生活に困窮している」
「飛行機に乗れない精神状態だ」
「祖父母が病気でいつどうなるかわからない」
などなんでもいいです。
行かなくても代わりのカリキュラムが用意されているので、卒業単位は大丈夫ですので安心してください。
5.おわりに
本記事はいくつかの専門学校の海外研修を一例にして内容を展開しているため、全ての専門学校の海外研修に当てはまるものではありません。
しかし、時代がこれだけグローバルかつネット社会になってきた中、何十年も前からある海外研修はもはや時代遅れで、30~50万円の値打ちはないと考えます。
それだけのお金を専門学校の海外研修に使うのであれば、もっと別の自己投資に使うことを考えましょう。
友達と行く海外旅行でも十分自己投資です。
専門学校の与えられたカリキュラムを受け身でこなすより、友達数人で、自分たちが主となり能動的に海外旅行の計画を立て、実行する方がよほど有意義です。
社会で必要な人材は、自分で考え、能動的に行動する人です。
そのような観点から、海外研修の是非について考えてみてください。